漢江のほとりで待ってる


クリストファーは、慶太の所に来る前に、全てのことをまず、大手菓子メーカーに話しに行っていた。

そして、このことを公表するのに、勝手なお願いではあるが、やっておきたいことがあるから、一ヶ月待ってほしいとお願いした。

やっておきたいこととは、一条と電話で話した時に、彼が弦一郎と慶太のDNA鑑定をするため、私的用なら結果は一週間ほどで出るらしいが、念のため裁判用にと、その結果に一ヶ月を有するから、公表を少し待ってほしいと言われていたから。

大手菓子メーカー側の社長はこのことに、深く踏み込まず、承諾してくれた。

そして、

「罪は罪としていけないことだが、よく話す決心をしてくれた。君も辛かっただろう。事実を話してくれてありがとう」

クリストファーに寄り添うような言葉をかけた。

これには、クリストファーも、予想外だった。もっと責められた方が楽だったのに、相手の優しさが、余計彼の心に深く突き刺さった。そして自分のしたことを深く反省した。

それから社長は、まだ事実もはっきりされていない中、勝手にクリストファーを博覧会の総合プロデュースに決めた、上役と主任を呼び出し、便宜の見返りに報酬を得ていたことも知り、これにはかなり激怒し、彼らを懲戒処分、三ヶ月の停職処分と半年間の減給にした。

「恥を知りなさい!五十年の歴史に泥を塗った。信頼回復にはそれ以上の年月がかかるかもしれないが、私にでなく、これからそれをお客様達に証明していきなさい!」

と彼らに厳しい言葉を残した。

慶太は、不正取引を社長も承諾しているものと思っていた。

「堕ちる時はみんな一緒!いや、引きずり下ろしてでも勝ち残ってやる!」

とにかく、今は盗難の証拠さえ押さえれば事は済む、そんなぐらいにしか思っていなかった。

だからまだ、クリストファーと一条の動きを何も知らないでいた。


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