漢江のほとりで待ってる


由弦は、慶太のいる別荘に向かう前に、ある所に向かっていた。

そしてしばらくして、慶太の所に到着した。

「遅かったな」

別荘で待っていた慶太の第一声。

「ごめん。少し寄り道をしてた」

「青木君と別れを惜しんでたのか?」

「どうかな」

「こんな時にのんきだな?さて~本題に入ろう!」

慶太は、例の映像の入ったUSBと原版のあるPCを渡せと言って来た。

由弦は、今自分の手元にはないことと、それをどこにも公表しない旨を伝えた。

また、自分には高柳グループを継ぐ意思が無いことも伝え、および財産も全て放棄すると慶太に強調した。

「そんな口約束は信用できない!」

「じゃぁ、どうすればいいんだ?」

「消えてくれ!」

「死ねってことか?」

「そこまでは言っていない。日本から離れてくれ。お前がいると目障りなんだ!」

「……」

「私は昔からお前が嫌いだった」

「……」

「父上の愛情を全て独り占めしてるお前が!なんなく何でも手に入れてしまうお前が!」

「本気で言ってるのか?」

「ああ!お前は父上に愛され、欲しいものは容易く手に入れた、何でも!!青木君までな!それに引き換え私は?愛されず、私がどんなに努力しても、父上は振り向いてもくれなかった。私はいつも孤独だった!」


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