漢江のほとりで待ってる
Barを出た一条と珉珠は、誰にも気付かれることなく、一条の所有するマンションに移動した。
そして一条は雅羅に連絡を入れた。
「あなたが秘密にしていることを、公にされたくなければ、由弦から手を引いてください」と先手を打った。
「何のことかしら?」
「お分かりでしょう?例え、証拠を揉み消したとしても、弦一郎氏と慶太氏が親子関係が無いことは消せない事実なんですから」
「言ってる意味が分からないわ!」
「社長である弦一郎氏と慶太氏のDNA鑑定の結果がこちらにあります。父親肯定率ゼロパーセント……今までよく世間を騙して来れましたね」
「……!!何が望みなの?慶太はこの事実を知らないの!あの子の耳に入れるのだけは止めて!」
「なら取引しませんか?オレも出来ることなら事を荒立てたくありません。丸く収まるならそれに越したことはないので」
「いいわ!私はどうすれば?」
「親子関係を公にしない代わりに、高柳の信頼回復をしてください!クリストファーの描いた絵こそ盗作だと」
「そ、そんなことをすれば、慶太が罪になるでしょう!」
「当然でしょう!何も無償で許すなんて誰も言っていませんよ?罪は認めないと!取引は互いに利益を得られるため交渉するのでは?親子関係はバラさない、慶太氏は罪を認めない、あなた達は何も被らない、それならこちらはなんの得もない!甘えたことを言ってないで何か一つでも傷を負うべきだ!あんた母親なんだろ!?」
「……ぐっ!わ、分かったわ!由弦さんの信頼回復は致しましょう!その代わり絶対に慶太には話さないで!」
「分かりました。では一時間以内に、クリストファーの絵は盗作したものだと公表してください!高柳由弦の信頼回復お願い致します」
交渉が終わると、一条はマンションの周り及び、入り口周辺の警備を強化した。
珉珠にはボディーガードを付けた。