漢江のほとりで待ってる


すると手術室の扉が開き、由弦が運ばれて来た。

出て来るなり珉珠は駆け寄り、「由弦!由弦!」と叫んだ。

そしてそのままICU(集中治療室)へ運ばれて行った。

一条は珉珠を引き離した。

「由弦~っ!」珉珠は運ばれて行く由弦を見ながら叫んだ。

執刀医が出て来て、

「先生!由弦は!!」と弦一郎が掛け寄った。

そのあと、フラフラした珉珠を支えながら一条も医師の元へ。

「全力は尽くしましたが、油断を許さない状況です。エアバッグが意味の成していないほど、横からの衝撃がよほど強かったのか、肋骨が折れ、その折れた肋骨の破片が肺を傷付け、自発呼吸を困難にさせています。また後腹膜破裂もしてました。そして左足骨折、それよりも、左側頭部を強打していて、損傷が激しいです。例え意識を取り戻したとしても、言語障害、意識障害などが残るかもしれません。一週間以内に、CT検査とMRI検査の精密検査を徹底的に行って行きます」

「由弦は意識を取り戻しますか!」と弦一郎。

「今の所なんとも……」

医師の言葉に皆落胆した。

「先生!どうか由弦を助けてください!!」

珉珠は医師にすがった。

「ベストを尽くします!」

「お願いします!お願いします!」

必死で訴える珉珠を一条は医師から遠ざけた。


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