漢江のほとりで待ってる
慶太の所にも由弦の件で一報が入った。
声が出なかった。
すぐに病院に向かおうとしたが、「どの面下げて行けると言う?」その思いが向かい掛けた足を留まらせた。
負い目を感じ、躊躇う自分と、由弦を心配する気持ちとが葛藤する。
でも慶太の心はもう病院へ向かっていた。
―――― 椎名おじさん……!?おじさんは大丈夫なのか!?どこにいるんだ?病院?警察?
慶太が混乱を起こしている所に、雅羅がやって来た。
彼を見るなり、両手で頬を包み、
「大丈夫!あなたは何も気にしなくていいの。何も心配しなくていい。可哀想によほど怖い思いをしたのね?」
「母上……由弦が……」我に返った慶太。
「大丈夫。私が何とかしてあげる!あなたのことはこの母上が守ってあげる!由弦さんのことも何も気にしなくていいの!だからあなたは堂々として明日からまた会社に行くの!分かった?」
「でも……」
雅羅は首を横に振って、
「慶太さん、大丈夫!すべてうまく行くから!傍にいてあげるから、今夜ゆっくり眠りなさい」
なだめるように言った。