漢江のほとりで待ってる


「あの時、由弦を止めればよかった、そしたらこんな目に遭わなかったのに……」

泣き崩れる珉珠に、

「君のせいじゃない、由弦は絶対に大丈夫だ!そんなヤワじゃない!」

弦一郎が慰めた。

「それを言うならオレの責任だ。行かせたのはオレだから。青木さんのせいじゃない。オレの判断が甘かったせいだ!それにあいつは絶対に大丈夫!」

一条は行かせたことを誰よりも後悔していた。

「いや、誰のせいでもない、私のせいだ。私が全て悪い」と弦一郎。

「……」

「……」

「言葉が足りずにただただお前を追い詰めて、あの時、「信じているから堂々と会社に来い」と何で言ってやれなかったんだろ。守り方をいつも間違っているんだな。不甲斐ない情けない父を許してくれ。すまない、由弦!」

弦一郎は泣いた。

「社長……」

珉珠も涙した。

一条は黙ったまま俯いていた。


< 144 / 389 >

この作品をシェア

pagetop