漢江のほとりで待ってる
リビングに戻って来た珉珠の表情は暗かった。
時計を持ち主に返せなかったから。
あの日、彼のためにプレゼントした時計。
テーブルにその箱を置いた。
「ん?これは?」慶太は手に取り、箱を開けた。
「あっ!それは」
「時計?まさか私に?」
珉珠の腕を見たら同じデザインだった。
「いえ……」
「由弦のか?」
「……はい」
「婚約をやめたいと言ってから、まだ間がないというのに、由弦とよりを戻そうというのか?それはあんまりというものだろ?」
「違います!これは元々彼のものです。彼が入院している時、部屋の掃除に行った時に見つけて、壊れていたので修理に出していました。持ち主に返そうと思っていただけです」
「なら、私と婚約をしておきながら、君があいつとお揃いの時計をはめ続ける理由はなんだ?まだ好きだからではないのか?私は君に対して誠実に向き合って来たつもりだ。それなのに君は……君ももう少し私に対して寄り添う努力をしてほしかったよ」
慶太をないがしろにしている訳ではない。
むしろ慶太の方に気を使っているくらいだった。
慶太も思うようにならない珉珠の気持ちに、少し苛立った。