漢江のほとりで待ってる
身の置き場がなく、何もやる気すら起きない美桜がいた。
「別れよう」あの言葉から立ち直れていなかった。
―――― 振ったのは自分なのに、フラれるなんて……
由弦を取り戻したくて、珉珠の部屋まで訪ねて、忘れてくれと頭を下げたのに。
それが上手くいかなかったから、やっぱり由弦を頼むだなんて、そんな虫のいい話出来る訳がない。
「ならどうして大切な彼を一度でも手放したの!」
あの時の珉珠の言葉は胸に重くのしかかる。
それだけではない、「不躾に……」あの時の珉珠の思いが、由弦をどんなに思っているか思い知らされたから。
あれだけのことをしておきながら、自分は一度ばかりか二度までも手離してしまった。
「お前、何で自分だけ幸せになれないんだろうとか、いつも思ってない?そんなことしてるからだよ!」
一条の言葉が今頃染みて来る。
いつも同じことを繰り返しているのは、自分がこんなだから。
やっと気付くなんて……もはや合わせる顔もない。美桜は色んなことを思い返していた。
暇を持て余す美桜。
こんな時でも、彼女、珉珠は、ヒールを履きこなし、颯爽とオフィスを歩き回っている。
そう思ったら、なぜがまた妬けた、そしてこんな自分が恥ずかしくなった。
大学を出てから、結婚するまでは自分も、珉珠のように働いていた。
学生の頃のように、会社では脚光を浴びることもなく、上司や先輩に怒鳴られながら必死で働き、それなりに頑張っていた。
学生時代のミスキャンパスは、その頃の気持ちが抜けきれず、甘い夢ばかりを追っていたため、現実が受け止められず、結婚に逃げた。
その時出会った彼は、とても大人に見え、自分をお姫様にしてくれると夢を見た。
でも、「結果これだ……」
美桜は呟いた。
―――― もう一度やり直そう!誰の前に立っても恥かしくないように。そしてみんなを見返してやりたい!
美桜は思い直し、気持ちを奮起させた。