漢江のほとりで待ってる
一方で、会社のデスクで作業していた由弦。
忙しい中、ふと手を止めると、思い出すのは珉珠のこと。
色々考えていると、腑に落ちないことがあった。
記憶を失くして、なぜ、珉珠とつき合ってることを、みんなで隠したのか……それは自分のためとみんなが言っていた。
ならなぜ、記憶が戻ったのに、珉珠は自分の傍にいないのだろう。
それになぜ、珉珠は自分とのことをだまっていたのか、そしてなぜ、慶太と結婚するまでに至ったのか。
自分が記憶を戻すまで、なぜ待ってはくれなかったのか。
謎だらけ。
―――― もう、事故前から、彼女の気持ちは離れていたのか?いや、確かあの雨の中、オレは彼女を……始まったばかりでこれからだった。
その先を思い出そうとすると、頭の中が混乱を起こした。
その辺りの記憶が欠落している。
その間がどうしても思い出せない。
何か大切なものを忘れているような気がした。
思い出せるのは、気付けば病室のベッドの上で、みんなが心配そうに自分の顔を覗き込んでいた、そのシーンからだった。
またなぜ、別れたはずの美桜が戻って来たのか。
事故に遭ってから目覚めるまでの間、納得のいかないことが多すぎた。
事故ってどんな事故だったのか……
由弦は、ほぼ全て思い出していたものの、事故の前後や原因は思い出せていなかった。
誰がどんな目的で、由弦に事故を遭わせたのか、実際誰がやったのか、由弦は覚えていない。
ただ、自分の車にぶつかって来る、あの映像だけが蘇る。
我に返るとデスクの電話が鳴っていた。
要件を聞き終わり、立ち上がろうとした時、また眩暈がした。