漢江のほとりで待ってる

それに気付いた仲里が、

「大丈夫ですか?疲れてるんじゃないですか?」と声を掛けて来た。

「あぁ、大丈夫。少し出て来る。課長に聞かれたら、クライアントの所に行ってると伝えて?」

そう言うと由弦は出て行った。

「分かりました」

仲里はそのまま由弦を見送った。

先方で、イベントの日程や会場など、着々と決めて行った。

プレゼンで実際にどんなイメージに仕上がるか、由弦はプロジェクターで説明をした。

会議が終わろうとした時、

「君の活躍はずっと前から知っていた。ぜひ、今回の博覧会で、君の描いた絵を展示できるように、ブースを設けたい、どうだろうか?」

社長直々に言って来た。

突然のことにびっくりした由弦だったが、

「はい!ぜひ!」

張り切って返事をした。

個展とまではいかないが、自分の絵を公に披露したいとずっと思っていたから、とても嬉しかった。

「色んな事が一気に起きて、君自身も大変だろうが、頑張ってほしい!成功を祈っている」

社長は由弦の肩をがっしりと握って励ました。

この時、由弦の体に熱い血がみなぎるような気がした。

今まで以上に忙しくなった由弦。

自分のデザイン画だけでなく、さらに、会場を確保してからは、そこで行うちょっとしたアトラクションの準備などで、マーケティング部にはほとんどいない状態だった。

夜は夜で、展示用の絵を命を吹き込むように、一枚一枚描いて行った。

この頃から、少し目が霞むようになって行く。

「かなり疲れているな」

目をこすりながら由弦は呟いた。

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