漢江のほとりで待ってる
父との確執で苦悩の中にいた慶太。
生まれてこの方、高柳以外で働いたことがない。
誰かを面接したことはあっても、されたことなどない。
だから履歴書なんて書いたこともなかった。
外の世界も何も知らない御曹司。
「職務経歴書!?何だそれ!志望の動機?そんなもの働きたいという意志意外に何があるんだ!あぁ~何だか面倒だな!」
悪戦苦闘しながら、何とか面接に漕ぎ付け、面接官の質問に、イライラした。
面接官が慶太の履歴書を見るなり、
「あなた、まさかあの高柳グループの副社長、高柳慶太さんですか?なぜあの高柳グループの御曹司であるあなたが、就活(就職活動)されているんですか?また弊社を選んだ理由は?」
―――― そこに書いてあるだろう!確認出来ないのか!しゅうかつ?何の呪文だ!分かるように説明しろ!貴様に何を話せというんだ!すぐに働かせてはくれないのか?
どこへ行っても同じ質問をされる。
ことごとく不採用の通知が届く。
まさか、ほんとにあの御曹司が、自分達の会社で働きたいなんて思うわけないと、どの企業もはじめから本気で取り合ってはくれなかった。
―――― 他の者はみんなこれを乗り越えて来てるのか?
それから、何も知らず、「即採用!倉庫内軽作業」の見出しに行ってみれば、意外と肉体労働で、そこで働いている従業員から、軟弱だの、女みたいに細くて弱々しいなど言われたりした。
何とも初めて味わった屈辱。
しかも埃だらけ汗だくの毎日。慶太の一番嫌いな環境だった。
だから、仕事も長続きするはずもなく、すぐに辞めてしまった。
肩を落としながら家に帰る慶太。