漢江のほとりで待ってる
しかし、一向に仕事が決まらない、日増しに、ダメになって行く情けない慶太の姿を見ていると、見ている側が辛くなる、同情してしまう。
生まれながらのお坊ちゃまには、庶民の生活は無理、彼の分相応は、元の生活に戻るべきだと美桜は思った。
見るに見兼ねて、美桜は今までの経緯を、珉珠に話すことを決めた。
珉珠の部屋を知っていても、連絡先を知らない美桜は、その日の夕方、本社の前で珉珠が出て来るのを待つことにした。
「何か、私何やってんだろう……」独り言言いながら待ち続けた。
すると、ちょうど、珉珠が出て来た。そのあとすぐに車が停まった。
颯爽と歩く姿、服装、社長をお出迎えする、その洗練された彼女の姿は、頭のてっぺんから足の爪先までとても美しかった。
美桜は思わず見とれてしまった。そしてまた今の自分と見比べて、恥かしくなった。
気後れし声を掛けそびれ、その場に立ち尽くす美桜。
ロビーへ向かおうとした珉珠が、美桜の存在に気付いた。
ヒールの音が近付いて来る。
振り返ると、珉珠がそばまで来ていた。
「こんな所であなたにお会いするとは」珉珠が声を掛けて来た。
「あ、あの~……」言葉が出ない。
「何かご用でも?」
「実は~ユヅのお兄さんのことなんですけど……」
「副社長が何か?」
「もう見てられないんです」
「はぁ~」
思わず空を見上げた珉珠。何となく察しがつき、頭を悩ます。
さらに、事情を詳しく聞かされ、慶太の性格や行動が納得できた。