漢江のほとりで待ってる
次の日、珉珠は昼休憩を利用して、慶太に連絡を取り、会うことにした。
「君から連絡して来るなんて珍しい。笑いに来たのか?それとも何かよほどの用なのかな?」
「笑いにだなんて、そんなつもりはありません。何だかお疲れみたいですね?」
「分かるか?かなりのストレスだ。今まで生きて来た人生の中で一番かもしれない。屈辱的と言っても過言ではない」
「なら、意地を張らずに、素直になられては?きっとお父上もお許しになるかと」
「!?父上の差し金か?」
こういう時だけ勘が鋭いなと思いながら、珉珠は微笑んだ。
「父上がどうしてもと言うなら戻っても構わないが」
「もうお互い、お察しのはずですよ?副社長」
「ふっ」
参ったなという感じで、慶太は笑った。
珉珠が何気に髪をかき上げる、左手薬指を見て、指輪がまたはめられていた。
腕を見ると、腕時計も外されていた。
「ま、まさか、珉珠くん?」
「はい。一人では何も出来ない、情けない副社長を見ていたら放ってはおけなくて」
「珉珠くん……」
慶太はほんとの地獄から這い上がった気さえした。
心の底から喜びが溢れた。
「戻って来てくれてありがとう」
ここで慶太の就活に、終止符が打たれた。