漢江のほとりで待ってる
症状はどんどん悪化して行く中で、作業を進めて行く由弦。
その由弦は、慶太と珉珠が、そんなことになっているとは露知らず、事故の原因など思い返していた。
腑に落ちない理由を探すも、すっきりしない。
思い切って一条に事の全てを聞いてみよう、そう思った。
その夜、二人は会って話をした。
「事故の理由はお前が知れば、今よりももっと苦しむことになる」と一条は話を切り出した。
「構わない」
由弦の一言で、一条は今までの経緯を話し始めた。
「~それで直接高柳の血を引くお前が邪魔になり、その事件を引き起こしたんだ。雅羅夫人が支持をし、お前の車に突っ込んだのは、椎名氏だ。今禁固刑を食らってる。一応、兄上も雅羅夫人も、起訴され、執行猶予は付いたものの、前科者であることには違いない。今まさに二人は刑に服している状態だ」
一条は言葉を続けた。
「お前が意識を取り戻してすぐに、本当のことを打ち明けてさえいればこんなことにはならなかった。みんなお前のためを思って、何も言わなかった。早く元気になってほしかったから、ただそれだけだった。言わなかったこと、ホントに申し訳ない高柳」
血縁関係の話で、この時も由弦はまた驚いた。
―――― オレと兄貴が兄弟じゃない!?だから殺せるのか?
ショックを隠せない由弦。
「大丈夫か?高柳」
「あぁ、続けて」
それから、美桜の話しをした。
「神崎を悪く言いたくはないが、あいつのせいで、青木さんはお前と神崎の間で苦悩して、それでもお前の看病を続けた。苦しんだ日々を支えたのが、兄上ってことだ。そして、神崎にお前を譲ったんだ。お前のためだと思って」
「そんな……オレのためって何だよ!何で一番大切なことオレに隠すんだ。そこにオレの意思はないのか?違うか……全てはオレが記憶を失くしたせいだってことか」
酒の飲むスピードが上がった。
「それは……お前のせいじゃない!おい、高柳!もう止めとけって!」
一条が止めても、由弦は止めようとはしなかった。
飲むことでやり切れない思いを、癒すかのように、飲み続けた。