漢江のほとりで待ってる
二人の態度を余所に、雅羅はどうしても胸騒ぎが収まらず、慶太に連絡して、もう一度由弦の気持ちを確かめるよう念を押した。
雅羅の強い押しに、慶太も根負けをして、渋々由弦と会って話をすることにした。
近くのカフェに呼び出し、軽く世間話でもして帰るつもりをしていた。
珉珠の話を出して、複雑になり、せっかくまとまっていた婚約も台無しにし兼ねない!
そんな面倒くさいことなどやっている暇もない!と由弦の気持ちなど、確かめる気などさらさらなかった。
そんなことを考えている慶太の所に、由弦が現れた。
何気に見た、由弦の歩く姿に、慶太は違和感を覚える。
そんなものを、目ざとく見つける才能だけは優れている慶太。
―――― まさか、あいつ、事故の後遺症でも出てるのか!?
思いながら近くに来るまで観察していた。
慶太の前に由弦は座った。
「体は大丈夫なのか?」
後遺症を確かめるべく、慶太の第一声。
「うん、で?呼び出してまで一体どんな話?」
由弦の問いかけに、笑って誤魔化して、珉珠をどう思っているか、由弦の気持ちも確かめようとはしなかった。
弦一郎や雅羅が元気にしていることや、自分の就活の話などして、慶太はこの時間を乗り切ろうとしていた。
「大した話でもないなら、オレ今忙しいから帰らせてもらうよ」
そう言って由弦は立ち上がろうした、するとふらりと体勢を崩し、倒れそうになった。
「大丈夫か!由弦!」
慶太が近寄って、由弦に手を貸そうとしたら、「大丈夫」とその手を由弦は拒んだ。
この時慶太は、由弦の体が普通ではないことを確信した。
一瞬でも、婚約パーティーの開催を躊躇ったが、心の中にある良心よりも卑しさが勝り、中止には出来ず、優越感を味わう方を、慶太は選んだ。
帰ってから、慶太は雅羅に、兄弟にわだかまりはなく、結婚をすることに何の問題もないと報告した。