漢江のほとりで待ってる

紅葉した木々の散策や、紅く染め上がった紅葉もゆっくり愛でる暇もなく、瞬く間に時間は過ぎて行った。

最初、右手だけだった痺れも、右半身に及び、歩き辛く感じるようになった。視界もさらに悪くなっている。

ある時、休憩に仲里が、カフェオレを由弦に持って行った時のこと。

渡されたカフェオレを、由弦は取り損ねて落としてしまった。

「高柳専務、前にもふらついたりしてましたよね?忙しいから疲れてるんだと思ってましたけど、最近それが頻繁じゃないですか?歩きにくそうだし、何もない所でつまずいたり。それ、疲れ以前の問題なんじゃないですか?」

思い切って仲里は聞いてみた。

「いや、疲れだと思うよ」とはぐらかす由弦。

「誤魔化さないでください!本当のこと言ってください!」

仲里の問いに、返事に困っていた由弦は、その時、鼻から何か生温かいものが伝わって来るのを感じた。

触ってみると鼻血だった。

びっくりした仲里は、慌てて由弦を病院に連れて行った。

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