漢江のほとりで待ってる
珉珠は由弦を視界に入れなかった。
今日の由弦は不調そうだったが、でもあえて見なかった。
自分にはもう関係のない人!気持ちを寄せてはいけない!断ち切らなけらばいけないと自分に言い聞かせた。
由弦とは違い絶好調の慶太。
それもそのはず、慶太に有利になるように、八百長が仕組まれていたから。
慶太は活躍する度、珉珠の方を見て、前に由弦がやったように、ガッツポーズをして見せた。
それに応えるように、珉珠も拍手をして笑顔で応援した。
由弦は遠くで珉珠の姿を見ていた。
自分に向けられていたあの眼差しは、別の人を見ている、嫉妬心よりも、胸が痛くて、切なかった。
由弦が塁に出れば何とか繋げられた回も、打てばいつもなら軽くセーフになるはずが、その体では必死に走っても無理だった。
一塁ベース目の前でアウト、「ゲームセット!!」の声が響いた。
その場で、マウンドの土に、由弦の両手両膝が着いた。
敗北感と絶望感に全身覆われて、そのまま地面に沈んで行きそうなくらいだった。
慶太の望んだ、世間の前で、珉珠の目の前で、由弦はひれ伏した。
「ギャッホーイッ!!」
両ガッツで慶太は叫んだ。