漢江のほとりで待ってる
それから新年を迎え、高柳家では一族が勢ぞろいした。
本来なら、由弦もこの場に生粋の高柳家の血を引く、正式な後継者としてお披露目されるはずだった。
「由弦君はどうした?この場に来ないのか?新年の挨拶くらいはするべきだろ」
「彼にはカリスマ性もあり、あれほどの才能があれば、高柳グループを率いて行けるでしょうに、それに高柳家の生粋の血を引いている」
親戚一族は口々に言って来た。
「由弦は今、博覧会の件で、寝る間も惜しんで作業に追われております。この場に顔見世出来ないことを、彼に代わり深くお詫び申し上げます。そして、由弦のお力添え、何卒よろしくお願い申し上げます」
そう言うと弦一郎は深く頭を下げた。そして、言葉を続けた。
「才能だけでは、経営は出来ませんから。先見の明に優れていないと。それに由弦は上に立つほどの器にはまだまだ~」
と弦一郎が言った。
「だから、慶太君だと?ま、彼は確かに全てにおいて綿密で、問題に対しての適応能力にも優れている。がしかし、あまりにも慎重で用心深く冒険力に乏しい。用心深いのが悪いと言ってるわけではありませんよ?ただ模範過ぎて、この先の高柳の進化が見られない。未来はもっと凄まじく発展しますよ?」
と親戚の一人が返した。
「だから、由弦を慶太の右腕として置いておきたいのですよ。あの子はヤンチャですが、その見た目より落ち着いて物事を判断できる冷静さを持っています。そして斬新なアイデアも。しかし若さゆえ、経験も未熟で統率力に欠ける、コミュニケーション能力だけではトップに立てない」
弦一郎と親戚一族が、この間の婚約パーティーで、弦一郎が後継者を慶太と発表したことについての討論をしていた。
親戚の一部では、由弦を後継者に考えている者もいて、意見が分散していた。