漢江のほとりで待ってる

珉珠は別の招待客と挨拶をしていた。

それを終えて、慶太の所に戻って来ってくると、固まったまま一点を見つめている。

心配になり、「大丈夫ですか?副社長」と声を掛けた。

何度か声を掛けるが反応がない。

「副社長!」

「あ!す、すまない、考え事していた」

「大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ。すまない」

「慶太しっかりしなさい。あの方が言われてことは間違っていない。由弦を探そう」

弦一郎が思い詰めた表情で言った。

部下に命令し、会場をくまなく探したが来ていない。

まさか、由弦が初日に来ないなんて思ってもいなかった弦一郎は、またしても、自分が人として欠けている部分を、思い知らされた。

「高柳の姓で最後に受けても構いませんよ」、由弦の言葉を弦一郎は思い出していた。

―――― だから来なかったのか?終わるまでがお前の仕事だろう!いや、お前をないがしろにしていた私が言うべきことじゃないな。辛いお前の気持ちを無視していたんだからな。

弦一郎は胸の中で呟いた。

< 254 / 389 >

この作品をシェア

pagetop