漢江のほとりで待ってる
海外でも人気ブランドの旗艦店がリニューアルオープンし、そのレセプションパーティーが開催された。
多くのセレブが招待され、その中に、高柳一族も招待された。
弦一郎達と離れた所で由弦は、招待客を眺めていた。
するとそこへ、人気ブランドのデザイナー直々に、由弦の所へ挨拶に来て、握手を求めた。
その場はかなりのフラッシュをたかれ、注目の的となった。
「あなたの活躍は知っています。そしてファンでもあります。今日来てくださったことにとても感謝し、喜びを感じています。何かご一緒に出来る機会があればいいですね」
そう一言添えて、次回作で由弦とのコラボを示唆した。
そのあとも、色んな有名人や著名人に、ひっきりなしに由弦は声を掛けられていた。
珉珠は、ずっと由弦を見ていた。
「私達が注目をされないのは不愉快だが、それよりも私には綺麗なフィアンセがいてとても幸せだ」
珉珠の視線の先に気付いた慶太は、珉珠の前に立ち、視界をシャットアウトした。
由弦が注目されていることが面白くない慶太は、珉珠にさえ嫉妬した。
苦笑いをする珉珠。
そこに大手菓子メーカーの社長も来ていて、
「流石ですな~。あのデザイナーが由弦君に挨拶するとは~」と弦一郎に話しかけて来た。
「いえいえ、とんでもございません。まだまだ未熟なもんです」
「いやいや、彼はほんとに世間が言うように、天才です。仮に社長だとしても、企業の一社員として置いておくのは勿体ない気もしますがね?それはそうと、この間言っていた、うちの孫娘が今日こそはぜひ、由弦君に会いたいと、申しておりまして」
その社長は、孫娘を紹介した。
「初めまして、鷹司紫苑です」
言いながらカーテシー(ヨーロッパの伝統的な挨拶)をして見せた。
孫娘の紫苑は、年は二二、とても愛くるしい笑顔で、髪は栗色で、肌は透き通るように白く、目は翡翠色。
聞けば、父親がフランス人であるという。
姓は母方、つまり社長の娘の方を名乗っている。
「これは可愛らしお嬢さんだ」と思わず弦一郎は声を上げた。
そしてすぐ、由弦の耳に、社長が呼んでいると入った。