漢江のほとりで待ってる
博覧会で完全復活した由弦の活躍に、各企業から、CGクリエイターとしてのオファーが殺到していた。
それを全て由弦は、断っていた。
珉珠がその話題に触れると、
「絵に関しての依頼は、全て断って!」と突き返すだけ。
依頼の話が出た時点で、即電話切っていいなどと一切受け付けなかった。
以前なら、絵に関しての依頼が来たら、他を差し置いてでも即答するくらいな勢いで、やはり本業だけあって意欲的だと感じていたのに、ここ最近はまるで避けているかのようにも思えて、珉珠は不思議だった。
その由弦は会議中。
そこへお客様がやって来た。
少し癖のある!?いやかなり癖のある企業の部長だった。
何やら急ぎの用らしく、社長に取り次げとうるさかった。
珉珠はメモ書きして、会議中の取締役兼専務の由弦にそっと手渡した。
その間珉珠は、お客様を専務室へ通し、対応した。
お茶を出したその時、「すまないねぇ~」と言いながら、珉珠のお尻を触った。
「……!!お戯れはお止めください!」と一礼してその場を去ろうとした珉珠。
「待たされているんだ!それくらいは秘書の対応の一環として入れておかないと、社長の面子にも関わるよ?」
そう言いながら、立ち上がって、珉珠の両肩に手を置いた。
「櫻木部長お止めください!」きっぱりと珉珠は主張し、相手の手を外した。
「まぁそう言わずに、社長が戻るまで相手をしてくれ!」と肩を抱き、どさくさに紛れて珉珠の胸を触ろうとした。
これには、すかさず交わして、
「いい加減にしてください!こんなことが許されるとお思いですか!」
「ふっ!君とは十年来の付き合いと言っても過言ではない。二十歳過ぎたばかりの頃から、君のことはよく知っている。その年でやっと婚約して、その副社長に、毎晩抱かれているのか?まさか、今も濡れてるんじゃないのか?」そう言って抱きついた。
「や、お止めください!!」
珉珠は櫻木を突き放した。
櫻木はソファに倒れ込んだ。
「何をするんだ!!」
櫻木は声を張り上げ、珉珠に飛び掛かろうとしたその時、
そこへ、由弦が会議から戻って来た。
「何かありましたか?外まで大きな声が聞こえて来ましたが、うちの青木が何か失態でも致しましたか?」と由弦。
珉珠が何か言おうとした時、それを遮るかのように櫻木が、
「いや~、どういうつもりなのか、お宅の秘書が私を誘って来て、自ら私の手を取り自分の尻を触れせたんです。どういう教育、どういう神経をしているのか、まったく客に対する対応の仕方にびっくりですよ!」
「違います!!」否定しようとした珉珠は、悔しさと怒りで体が震えた。
この上ない屈辱だった。