漢江のほとりで待ってる
「大丈夫か?珉珠君!」
由弦から、事情を聞かされたであろう慶太がやって来た。
「あ、副社長、大丈夫です」
「また、例の部長か?」
うなずく珉珠。
前にもあったと思われる、いつものことのように、さらりと聞く慶太。
こういう問題に対して無神経さが伺われる。
「いつもの君なら、うまく交わすのに、事を荒立てるなんて」
その言葉に、慶太に疑心の目を向け、そのまま落胆する珉珠。
慶太の言葉からも分かるように、これが高柳の体質である。
慶太もまた、このセクハラ問題に対して、軽視する所があった。
お客様の戯れに対して、いつもあとから、「大丈夫か?気にするな!」と言いに来る慶太の、「大丈夫か?」に、珉珠の心は癒されなかった。
ここ最近思うこと、自分は一体慶太の何に憧れていたのか?一体慶太の何を見ていたのだろう?と。
珉珠は疲労感を隠せなかった。
由弦はこの問題を、まず高柳独自で調査した。
そこで調査員の一人として、江南課長も選ばれた。
マーケティング部は、
「私も暇じゃないのよ?でも高柳専務たってのお願いらしいから~それにこの問題はずっと、私達はいつも泣き寝入り!悔しい思いをして我慢して来たんだから、ここで声を挙げないと立場を変えられない!解決なんてされない!ほんとにいい機会を与えたくれたわ!高柳専務、若いだけじゃなく見直したわ!」
江南課長はそう言って意気込んでいた。
忙しい合間を縫って、仕事同様に、調査にも勤しんだ。