漢江のほとりで待ってる
さらに由弦は、身内をかばったり、偏った見方にならないためにも、第三者の機関に依頼した。
女性調査員が派遣され、高柳グループ全体に聞き取りを行った。
その結果、出て来るわ、出て来るわ!身内からも出て来る始末。
案の定だが、あの櫻木は常習で、女性の間では有名で、その男のために、問題を大きくして辞めさされた女性社員もいたことも判明した。
「蓋を開けたらこんなものか、情けない」
この結果に由弦は失望した。
櫻木サイドから、弁護士を通じて、和解を求めて来た。
「やっぱりな!そう来ると思ってた!」
由弦はそう思いながら、珉珠を筆頭に、女性社員に和解を受け入れるかどうか聞いた。
九割方ノーと答えた。珉珠や女性社員達の思いは強かった。
賠償請求をして、裁判所に出向いた彼女たちに、また嫌な思いやさらに時間とお金を費やして苦しい思いをさせるよりも、一気に片を付けようと、由弦は警察に被害を訴え、調査報告書や物的証拠も提出した。
櫻木が、人生を破滅させたのは言うまでもない。
高柳の長い歴史の中で、初めて切り込んだ問題だった。
そして、これも高柳の歴史に刻まれた。
由弦の活躍により、見事あの櫻木を散らした、綺麗な桜が舞う中勝利したことにかけて、この事件を、
「櫻吹雪の変」
と女性達に言われることになる。