漢江のほとりで待ってる
そう言われてみたものの、すぐには答えは見つけ出せない宇海。
自分に足りないものは何なのか……甲斐を見ながら甲斐のそばで、見つけようとした。
甲斐が外回りに行くと、自分もついて行くようにした。
高齢者施設での彼女は、とても自然体で、自分のやるべきことをこなしながらも、その都度、「疲れてませんか?」、「喉渇いてませんか?」、「トイレは大丈夫ですか?」など、お年寄りに気遣いも忘れなかった。
その顔は、会社で見ていた、可愛く見せようとか、気に入られよう、いい子に思われようとか言った、あのあざとさは一切なく、作り笑いではない、素直な笑顔で心から相手に接しているのが伺えた。
まるで本当の祖母と孫にさえ見えて来た。
そうして行く中で、甲斐が苦手なものが分かって行った。
書類作成が苦手で、何かを発注する時、在庫確認するなど、あまり要領がよくない、数字に弱いこと。
宇海はそういった面を、さり気なくサポートした。
甲斐も、普段の宇海の態度や仕事ぶりの変化に気付いていた。
甲斐がが悪戦苦闘していると、「それ出来てるよ」とすっと差し出したり、「必要な箱の部数は、在庫共に調査済みで発注済み」、宇海は、不愛想なりにもきちんと仕事をこなしていた。
「ありがとう……」
素直に甲斐も言葉が出た。
険悪だった二人の間も、少しずつ打ち解けて行った。
甲斐ほどの接し方は出来ないが、宇海も進んでお年寄りたちと会話をするようなった。
元々喋るのは好きな方で、頭の良い宇海だったから、「このお兄さんの話はとても面白いわ~!」と、宇海の話が楽しみで待っているお年寄りも増えて行った。
そんな二人を見ていて、江南と仲里は、
「二人ならもう大丈夫ね、仲里さん?どんな魔法をかけての?」
仲里に江南部長はからかった。
「私は何も。ただ、江南部長の言葉を伝えただけです。それと二人が成長したんです。社会でやって行く中で、彼らは本当のコミュニケーションを培って行ったんです」
—————— 上っ面でなく、心から寄り添う、ほんの少しの優しさ。それは誰に対しても、チョコよりも甘い癒しかもしれない。