漢江のほとりで待ってる
「それは~何だよ!マスコミが言ってたように、不祥事続きの高柳に流れを変えたかったからだろ!兄貴が立ち直って純愛貫いた!後継者である長男慶太は、世間の非難にも負けず必死で頑張り、彼女の支えもあり、信頼回復もさせた、高柳グループは危機を脱した!そういう筋書きだったんだろ!その筋書きのどこにオレが存在するんだよ!あとから、取ってつけたように、記憶が戻り事故から回復した弟由弦も、兄を支えた、めでたし、めでたし、そうするつもりじゃなかったのか!何も言えないってことは図星だろ!その時父さんの中に、少しでもオレの存在はあったのか!結局オレは愛人の子でしかないんだ!!邪魔になったオレを追いやって、その上母さんを死なせた。あんたが母さんを殺したんだ!その事実に変わりはない!」
視線を慶太に向け、
「兄貴も!もう十分てなんだよ!自分だって相当なことやっておいて!周りを巻き込むなだって?正義の味方にでもなったつもりか?そういう兄貴はどうなんだよ!副社長の権限使って、会社を私情挟んで部下に仕事以外のことさせてだだろ!オレの尾行、泥棒まがいなことまで!それに、珉珠さんのこと好きだったんなら、何でもっと早く結婚してやらなかったんだ!あの年になるまで兄貴のそばで支えて来たんだろ!オレが奪ったから!?そうじゃないだろ、彼女は自分の言うことなら何でも聞くと思ってた、そばにいることが当たり前のように、自分の元を離れるわけないと高括ってたんじゃない!?それが離れた、だから取り戻す、物みたいに。しかも奪ったのがオレだったから余計許せなかったんだ!大事なおもちゃでも取られた気分だった?そういう執拗な執着心、気持ち悪りぃんだよ!言っとくけど、彼女は物じゃない!血の通ったちゃんと心を持った人間だ!私物化すんな!」
詰まっていたものを一気に吐き出し、由弦は息が上がっていた。
「……ほんとにすまない。返す言葉もない。お前の言う通りだ。でもこれだけは信じてくれ!私は、片時もお前のことを、忘れたことなど一度もない!お前の母親、琴乃のことも!」
「そんな上っ面な薄っぺらい言葉なんて聞きたくありません!今まで何十年と放って置かれた事実が、それがオレに対するあなたの愛だって証拠だ」
弦一郎は黙ったまま立ち尽くしていた。