漢江のほとりで待ってる
部屋に戻った珉珠は、帰省の準備を始める。
慶太から預かった、由弦の大切な指輪を返しそびれた。
自分が帰ってしまったら、二度と渡せなくなると思い、誰かに託して、彼に返してもらうか考えた。
はじめに思い浮かんだのは、一条。
彼は、自分に指輪ケースを持っていてほしいと言った人、故郷に帰るから、指輪を預かってくれなどと言ったら、自分と由弦の間で気を遣わせてしまう。由弦に近すぎて、それだけで気を揉ませそうだ。
それならば、美桜、は、一番関わらせてはいけない。反って傷付けてしまいそうだ。
慶太は以ての外!
ならば、仲里!
彼女なら、全てを察し、預かってくれるに違いない。
必ず、由弦の手元に返してくれる、そう信じて、早速、仲里に連絡を取り、彼女に会うことに。
「わざわざ休日に出向かせて、ごめんなさいね」と珉珠。
昼下がりのカフェで全てを打ち明けた。
由弦には言わない約束の下、珉珠は大切な指輪を仲里に渡そうとした。
すると、
「これはやっぱり、青木さんから返した方がいいと思います。どんなに時間がかかっても、例え二人が結ばれない結果であったとしても、直接渡してあげた方がいいと思うんです。自然消滅より、縁の後始末はしっかりした方がいいと思います。そう言いながら何でか私、お二人は互いに運命の相手だと思ってるんです、だから離れられない。その指輪が二人を結ぶ糸口なら、ちゃんと紡がないと」
仲里は、穏やかに笑って言った。
珉珠は彼女の言葉に、ガツンと頭を殴られたような衝撃を受けた。
「紡ぐ……」その言葉に、由弦の手紙の存在も思い出し、またも仲里から、改めさせられた。
ただ、故郷に帰ることを打ち明けるかどうかは、迷っていた。