漢江のほとりで待ってる
その一週間前、珉珠と別れた仲里は、帰りに偶然、街中で慶太と出会う。
あの副社長が、就活していると聞いて驚く。
話によると、以前は、自分が高柳グループの後継者という肩書きにぶら下がり、本気で仕事を探すなんて出来なかったと言う。
父との確執やプライドだけで自分勝手に振る舞い、世間を舐めていたとも言った。
今日のように、以前、街中で美桜にも偶然会い、彼女に就活について色々と学び、一般の人達がどれほどシビアな世界で生きてるかを思い知らされて、自分はまだ恵まれていることにも気付かされた。
それから、心を入れ替え、今は一からコツコツと面接をこなして行くようになったと、仲里に話して聞かせた。
その発言からも、誰の力も借りずに、やり遂げようとしている姿勢は伺えた。
それから慶太は、指輪の件で、由弦が自分と珉珠のことを誤解していることも話した。
「そりゃ誤解されるでしょう!自分の好きな人が、他の男と一緒にいる所みたら。まして弟の彼女奪って結婚までしようとしてたんだから。いくら用があるからって、彼女の部屋まで行きますか!?もっと気を配らないと、ちょっと無神経かも。ほんっと仕事以外は丸っきりダメなんだから!しっかりしてください!」
慶太は、仲里に、由弦に対して、軽率な行動を指摘された。
けれど、彼女の言葉は嫌な感じは一切なく、むしろ、嬉しかった。
話しの流れから、この時に、珉珠が韓国へ戻ることを、仲里から聞かされる。
慶太は、その日に合わせて、珉珠を見送りに行くため、最初で最後の連絡を取る。
「せめて、空港まで送らせてほしい。最後の罪滅ぼしに」と。