漢江のほとりで待ってる
珉珠の事故をきっかけに、由弦の復讐心が揺らぎ始める。
母との約束も果たせず、中途半端な恨み。
偉そうなことを慶太達に吐き捨てたものの、それを実行出来ていない。
〝高柳を潰す〟どころか、最近株価が上昇して、高柳グループ自体の評判も上がっていた。
—————— こんなはずじゃないのに……
突如、珉珠の顔が思い浮かんだ。
好きだからこそ、許せない。
好きなのに、遠ざけてしまう。
どうしようもない感情が、由弦の心を覆い尽くす。
それを仕事で気を紛らわすも、払拭できず、由弦は一人苦悩の中にいた。
知らず知らずのうちに、作業の手も止まる。
社長室での由弦、頬杖をつくことも増えて行く。
そこへ珉珠がやって来る。
突然の訪問に驚く由弦。
その彼に向かって、
「由弦、一人で悩まないで?」
「……!!出歩いて大丈夫なの!?」
「もう平気よ?あなたが助けてくれたおかげで」
「ホントに!?」
「ええ!」
「よかった……あなたのお母さんも心配してたんじゃない?」
「母には、急に仕事が出来たから、帰れなくなったって話した。余計な心配はさせたくないから」
「そっか。でもあれだけの事故だったのに、軽く済んでよかったよ。あの状況を見た時、心臓が止まるかと思った。内心ダメかと思った。ホント奇蹟だ。神様に感謝したいくらいだ」
「ええ。あのあと、色々あって、高速道路を工事していた、施工会社からの謝罪があったり、自分の事故現場の写真を見る機会もあって、その時はほんとに怖かった。生きててよかったって思ったの。こうしてあなたにまた会えたから」
「うん……」
「あの時病院で、副社長、いいえ、あなたのお兄様から、色々と話を聞かされたわ。一人で苦しんでたのね」