漢江のほとりで待ってる
アートディレクターの旭を始め、制作チームをB.A.Bに集め、ミーティングルームで事情を話した。
「今回このような結果になってしまって……僕の力不足で、みんなにはホントに申し訳ないの言葉しかありません」
由弦は深々と頭を下げた。
「突然なんで延期なんて。タレントのスケジュールも抑えたのに。先方は理由を言ってくれないんですか?」と旭。
「はい。大々的に宣伝したいとか。恐らく、うちのような専門広告代理店ではなく、通博のようなスーパー総合広告代理店でテレビなどでインパクトを与えたいんでしょう。申し訳ないの一点張りでした。社長すら合わせてもらえなくて」
「なら最初から頼まなきゃいいのに。何であえて遠回りしてややこしいことするんだ!」
新人の宇海が机を叩いて怒鳴った。
「はぁ~、何かやり切れないですね。てか歯痒い!!」
仲里は悔しさを隠し切れない。
「とにかく、クライアント側が縁がなかったと言っていたから、結果が覆されることはないと思う。本当に申し訳ありませんでした」
そう言うと由弦はまた頭を下げた。
一同落胆した。
由弦は自分の力のなさを痛感した。