漢江のほとりで待ってる


一条は、クライアントに連絡を入れ、今回のCMでのコラボの件を白紙に戻す旨を伝えた。

我がAwakenのアートディレクターの旭の器用はもちろんのこと、
そしてMecha-Kakuseiブランドの名前も一切使わせない。
高柳由弦に関しては、Awaken株式会社が彼とコラボをする上で、全ての権限を彼に一任した。その高柳氏を理不尽な理由で解任。その事実も見過ごせず、
よって最初の意向とは違うので、今回の契約は無効とする!といった内容。

CMはそちら側が、新たに大手の広告代理店を頼るなりして、新しく作成するようにと一条は願い出た。

これを受けてクライアン側は慌てて慶太に連絡を入れた。

それよりも先に、一条は、高柳副社長に釘を刺した。

「今回の件はとても残念です。いや、何よりも、高柳副社長ほどのお方が私情を挟むなんて。そちらが強引な手口で強行されるのであれば、こちら側も私情を持ち込ませて頂く!」

一条はそれを伝えた上で、クライアント側と同じ内容を慶太に叩きつけた。

最後に、「友人である高柳由弦氏を傷付けたりしたら、絶対に許さない!」と付け加えた。

そしてクライアント側も、

「うちと致しましても、あらゆる時間を短縮して世間にプロモーションできる点と、コスト削減、それを踏まえ、何より今回は、若きクリエイターと言われる、高柳由弦氏と一条徹氏のタッグが売りでそちらに依頼させて頂きました、にも関わらず、その二つがダメとなりますと、何の効果も得られません。高柳副社長がどうのようなお考えでなされたのかは分かりませんが、当初からの約束とかけ離れてしまいます。双方ではなく、片方だけのメリットなら、弊社との条件を満たないので、残念ですが今回は取り止めさせて頂きたいと存じます」

と言って来た。


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