漢江のほとりで待ってる


「えぇ!好きよ!」

素直に答えた珉珠に、ハッとした甲斐は、

「でも年が離れ過ぎてます!九も上なんて、きっと専務の重荷になると思いませんか?専務のことを思うなら、身を引くべきだと思うんです!才能溢れる彼の未来を壊さないで!」

珉珠は軽く溜息をついた後、平然とした物腰で、

「誰とつき合うかなんて彼が決めること!年の差!?そんなことを気にする人なら、年上の女に好きだなんて言わないでしょ?私の好きになった相手が、たまたま年下だっただけ。その人から好きだと言われた、ただそれだけのこと。それに若ければいいなんて意味が分からないし、それと、若くても分相応ってものがあると思うけれど?何をどうやっても、誰も人の心を自由になんて出来ないわ。あなたの言う、若き天才クリエイターの未来を、あなたは支えきれるとでも!?この先、彼の未来に私が邪魔で、私が足枷になるようなら、喜んで身を引くわ!そして彼の邪魔にならないよう見守るわ!」

そう言うと珉珠は、いつもの冷徹女の表情をして去って行った。

言い返す言葉もなく、悔しくて甲斐は地団駄を踏んだ。

「もーっ!!何なのよ~!!あの冷徹女!!ちょっとばかし綺麗で頭良いからって~!……!?年上の女を好き!?まさか専務、青木さんに告っちゃったの~!!この可愛い愛梨を差し置いて!!」」

甲斐は怒りながら、自分の持ち場に帰った。

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