漢江のほとりで待ってる
用事を済ませ、由弦は珉珠と合流して本社へ。
本社へ戻る車内で、
「何かあった?元気ないみたいだけど」
来た時と違って、表情の暗い珉珠を見て由弦は気になった。
「えっ!?そんなことないわよ?大丈夫、何でもないから」
珉珠は年の差を気にしていないわけではない。由弦に告白されてからずっと気にしていたことの一つ。そして、もう一つ、越えなければならない壁があった。そのため浮かない顔をしていた。
「そう?」
「えぇ。何もないから気にしないで」
「それならいいけど。あ!そうだ、ねぇ?今度の日曜、会えない!?」
「日曜?そうねぇ~、会いたいのは山々なんだけど、先約があるの。ごめんなさい」
「そっか。残念だ。次回に期待するよ」
「えぇ、ごめんなさい」
申し訳なさそうに言う珉珠。
この時は、誘いを断られたことに、あまり気にも留めなかった。
純粋に用事と思って、あまり問い詰めることもしなかった。
その裏で社内で甲斐は、由弦を奪うための作戦を練っていた。
「絶対にあの冷徹女なんかに負けないんだから!!でも~奪う前に、専務のことを知らないと~!ん~、例えばどんなタイプが好きかとか?どんな食べ物が好きかとか。ん~、もし専務が年上好みなら、大人メイクで愛梨最大限に大人モードでアピってみる?」
そんなことを言いながら、何やらメモに箇条書きしていた。
遠目からは、いつになく甲斐が仕事を熱心にしているように見えた。