漢江のほとりで待ってる
午後の会議のため、資料を並べに会議室に出向く珉珠。
その廊下で、反対側から誰か歩いて来た。
「久しぶりだね?青木君。元気にしてたかな?」
突然声を掛けて来たのは慶太だった。
「はい。お久しぶりです、副社長はいかかですか?」
「私は相変わらずだ。あ!そうだ青木君、久し振りに一緒にディナーはどうかな?」
「あ、申し訳ございません。先約がありまして」
「そうか~それは残念だ。またの機会にしよう」
珉珠は一礼して去って行った。
慶太はもちろん、珉珠が断るなんて思ってもいなかった。今まで珉珠が自分の申し出を断ったことがなかったから。
なぜかいつもと違う、珉珠に対して不愉快な思いがした。
自分の言うことを忠実に聞いていた僕が、命令に背く、まるで飼い犬に手を噛まれるような感覚になった。
―――― また由弦とか!!
慶太は、居ても立っても居られなくなり、椎名に由弦と珉珠の関係を調べるように命じた。