漢江のほとりで待ってる
その夜、二人は落ち着いたレストランで食事を楽しんでいた。
珉珠は、由弦と食事をするたび、その洗練されたテーブルマナーに感心していた。
そして改めて、由弦の顔をマジマジと見た。
幼さの残る可愛らしい顔。濁りのない澄んだ瞳。そんな澄んだ目で見つめられたら、自分の全てを見透かされているような気さえした。
初めて見た時、慶太と似ていると感じたが、何となく違和感を覚えた。
慶太の瞳はいつも冷めた目をしていた。その目で見つめられた時、何となく責められているような、そんな感覚にもなったり。
兄弟って言うだけで、その先入観で、テーブルマナーもそう、顔まで似ていると思ってしまっていた。
由弦のことを深く見ていなかったことに気付く。
何一つとっても、慶太とは真逆だった。
ただ一つ共通点を挙げるなら、二人とも時折淋しい目をする所。
色んなことを珉珠が思っていると、
「今度の日曜は会えない?」
と由弦が言って来た。
「日曜!?あ~ごめんなさい、また先約があるの」
珉珠の顔色が暗くなった。
「そか。忙しいんだね?」
由弦は、その先を問い詰めることはせず、残念そうに答えた。
レストランをあとにした二人は、夜の町を寄り添いながら歩いた。
時折熱く見つめ合ったり、抱き合ったり、手を握り合ったり。
時間の許す限り一緒にいたい。車に乗ってしまえばすぐに家に帰してしまうから。
それでも時間はやって来る。
彼女のマンションまで送ると、
「じゃあ、また明日」と歩きだす彼女の手を引き留めて、由弦は、強く唇を奪った。
珉珠は抵抗しない、でも抑えきれない衝動と由弦は闘いながら、唇を離し、
「おやすみ」
そう言って珉珠の手を放した。
―――― 日曜はどうしてダメなの?今日も聞くことが出来なかった。
少しずつ不満や不安が募る由弦だった。