漢江のほとりで待ってる
こんな日々を繰り返しながら、何度と日曜のデートを誘っても、いつも先約があって、珉珠には断られた。
「先約ってなんだよ!」と強く踏み込むことが出来ず、自分の方が一方的に好きなだけで、彼女はホントの所どうなんだろ、いつも珉珠と距離を感じる。由弦は些細なことで淋しさを感じていた。
日曜はエトワールと過ごすのが習慣になった。
ある日曜日の昼下がり、エトワールとお気に入りの湖の見える場所へ。
そしてまた、ゆっくりとその先へと進んで行った。
「あ!またあの協会まで来てしまった」そう思って由弦は引き返そうとした時、礼拝を終えた何人かの人が、前回同様出て来た。
するとその中に、見覚えのある人物がいた。
よく見るとそれは、
「!!珉珠……さん!?」
由弦は驚いたものの、出て来た彼女の表情を見ると、とても穏やかな顔をしていた。
―――― もしかして、彼女の毎週日曜の先約ってこのこと!?
由弦は思った。
それを確かめるため、毎週日曜日、エトワールと共に教会付近へと足を運んだ。その度、珉珠の姿を確認した。
「先約は教会へ行くことだったんだ」と由弦は確信した。
そしてある日曜日、近寄り難い教会を遠くから眺め、彼女が出て来るのを待った。
由弦は意を決して、ゆっくりと珉珠の許へ近付いた。
その気配に彼女は気付くと、
「由弦?どうしてこんな所にいるの?」
馬に乗る由弦の姿と、偶然に驚きながら言った。
「うん。ちょっとね。乗る?」
そう言うと、彼女の腕を引っ張り上げて前に乗せた。
「大人しい子ね?綺麗な金色の鬣……真っ白」
「この子の名前はエトワール。ヨーロッパ生まれの気位の高い、気まぐれな娘なんだ」
「普段はオレしか乗せないのに、どうやら、あなたのことが好きみたいだよ?」
「えっ!?そうなの?とっても嬉しい!」
ゆっくり移動して、湖の見えるお気に入りの場所へ案内した。
「この角度が一番好きなんだ」
由弦は、さざ波に太陽がキラキラ揺らめく湖を指差した。
「ほんと!とっても綺麗!この高さだから見える景色だわ!」
森林に囲まれた湖は、水面にその景色を映し出していた。