漢江のほとりで待ってる


それから次の日曜日午前中、珉珠に言われた通り、由弦は緊張な面持で珉珠と教会へと入って行った。

何やら珉珠はメモ用紙に記入していた。そして、礼拝堂へ行き、珉珠から聖書と封筒が渡された。すでに礼拝堂には、お年を召した信徒も来ていた。珉珠は礼拝に来る信徒達と挨拶を交わす。そして続々と人が集まり出した。

「この封筒は何?」と由弦。

「今日あなたがここで体験して、どんな風に感じたか、そうねぇ~、簡単に言ってしまえば、献金という形で、神様への感謝の気持ちかしら?もちろん強制じゃないから何もしなくていいのよ?」

「あぁ~、なるほど」

由弦は納得して、辺りを見渡した。中は白い建物で明るく、両サイドには窓があり、この建物が森林に囲まれているのが分かった。

正面には大きな木で出来た十字架があり、その存在感は圧倒的だった。

ザ!教会!由弦に強烈な印象を与えた。

牧師が現れ、祈りが捧げられた。

この時、由弦は、周りの手の合わせ方にも衝撃を受けた。

キリスト教は皆、指を組むものと思い込んでいたから。

なのに皆様々に組んでいて、仏教徒と同様に合掌する人、指を組む人と様々だった。

珉珠を見ると、彼女は合掌だった。

あとでそのことを聞くと、祈りの形は何でもかまわないらしい。大事なのはいつも気持ちだってことだった。

そして女性が現れ、オルガンを弾き始めた。

讃美歌は数曲歌われた。

それから聖書が読まれ、言葉は呪文ではなく、日本語だった。

馴染みのある言葉なのに、由弦の頭には、緊張のあまり何も入って来ない。

それから牧師の有り難い説教。由弦なりに何か感じていた。

そして、由弦は封筒に、今日の感謝の気持ち入れた。

礼拝後に、突然牧師から、由弦はみんなに紹介された。

そして信徒から大きな拍手と共に温かく受け入れられた。

空間は和やかで、新しい訪問者を孤立させるような疎外感もなかった。

この後、珉珠が言うには、礼拝のあとすぐ帰ってもいいのだが、月に一度、残ってみんなとお茶をしながら話をしたりする、交流会のようなものがあるらしい。

珉珠はいつもそれに参加してしていると言う。

そのことを踏まえて、珉珠は由弦と参加する日を今日に選んだ。

老若男女問わず、和気あいあいと皆語り合う。その中で珉珠もまた楽しそうに会話をしていた。

由弦も信徒たちから声を掛けられ、照れながら受け答えするそんな由弦を見て、珉珠は微笑んだ。


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