漢江のほとりで待ってる
それからとある休日、珉珠には内緒でエトワールに会いに行った日、森の散策を終えて、
「この先へ行くと珉珠さんがいるよ?一緒にいなくても、同じ空の下で同じように呼吸してる。目を閉じたらそれが聞こえて来そうな気がする」
エトワールに話しかけながら、掃除をして、エトワールにブラッシングをする由弦。
すると、
「由弦!」
突然誰かが自分を呼んだ。振り返ると、
「あ!珉珠さん!どうしてここへ?しかもよくここが分かったね?」
「教会から出て森林を抜けて、あの湖に添って歩いて来たの。何だか今日こそはあなたに会えそうな気がして。由弦?あの景色を毎週独り占めしてたのね?私は教会からこちら方面に来ることがなかったから、とても素敵な発見だわ」
「そう?それはよかった」
「私、礼拝が終わって、毎週湖まで来てたのよ?でもあなたはいないの。あのね?由弦、教会に来てもいいのよ?私に気を使ってるなら、そんなこと気にしないで?」
「気になんてしてないよ?オレはただ、あなたと一緒にいたいとか傍にいたい、逢いたいなんて下心だけだから。あなたと違ってちゃんと意味を持って礼拝に通う訳じゃないから。それにあなたの大切な休日を奪いたくないだけなんだ」
「……」
「それにさ?毎週通ってたら、オレ本格的に洗礼受けて、改宗しないといけないでしょ?宗教にこだわりはないんだけど、自分が簡単に変わるってなんか違う気がして。まだよく分からないんだ。毎週教会へ行って礼拝する、それが生活の一部である意味が。そう思ったら、オレはホントにあなたのことを何も知らないし、理解してない。だから、知りたいんだ珉珠さん、あなたのことを」
「由弦……そんな風に思ってくれているだけでも、十分に私を理解してくれていると思うけれど。そして大切にしてくれている」
由弦は珉珠を見て軽く笑った。ブラッシングの手を止めて、角砂糖をエトワールに与えた。
「今何をあげたの?」
「角砂糖だよ?エトワールは甘い物が大好きなんだ。散歩のあと、乗せてくれたお礼にあげるんだ。あげてみる?」
そう言うと珉珠の掌に角砂糖を置いた。
「いいの?」
「うん!今日はおまけだ。よかったね?エトワール」
珉珠は掌の角砂糖をエトワールに差し出した。するとエトワールはゆっくりと口を近付け食べた。
「うわ~!いい子ね~馬が角砂糖が好きだなんて知らなかったわ」
珉珠はそっとエトワールを撫でた。
―――― あなたがご主人様を慕う気持ち、分かるような気がするわ。そんな私もあなたのご主人様を大好きなの。
珉珠はエトワールにそっと話しかけた。
ブブブ~ ブルブルとエトワールは答えた。