恋するダイエッター
「佐竹…いいの?皆川さん。」
「俺は真由子さんがチャーシュー頬張ってる顔が最高に好きなんですよ。だから、チャーシューメンを食べる真由子さんと居る事より大事な用事なんてありません。」
…喜んで良いのだろうか、その理由。
「佐竹って趣味がおかしい。」
「人を奇人扱いしないでください。俺は至極真っ当ですよ?」
「ほら食べなよ」と促されてぱちんと割り箸を割った。
「皆川さん、話しが終わってないって…」
「平気。さっきので終わっただろうから。
話しが噛み合わなかったから時間がかかってただけ。」
噛み合わなかった…?
左にレンゲ、右に箸を持った体勢で佐竹を見る私に佐竹が困った様に小首を傾げて見せる。
「まぁ…さ。好みのタイプを聞かれたから『真由子さん』て言ったわけ。なのに『私じゃダメかな?』って。おかしくない?はっきり名前出してるのにさ。」
目の前の水を一口飲むと不服そうにムスッと口を少し尖らせた。
「テラスで話してたら真由子さんがゾンビみたいな無表情で食堂に戻って来たのが見えて『行って来る』って言ったらついて来ちゃって。」
…なるほど、それでさっき皆川さんは私に攻撃的だったんだ。
「…皆川さんは正しい。」
「はあ?!何でよ。」
そこで私の名前を出すのはお付き合いを遠回しに断るにしても安易すぎる。
自分より遥かに見劣りする女子をあげられたら、すぐに納得なんて出来ないに決まってるじゃない。
しかもそんな色気のある話の途中で置き去りにしようとするとは。女の性をこいつは全く理解していないんだ、きっと。
佐竹の子供具合いに呆れ、若干皆川さんに同情しながら一口飲んだスープは醤油の香りと少しの油分を舌に絡ませて口の中を幸福で満たす。
…やっぱり美味しいなあ、チャーシューメン。
自然と顔が綻んだ。
「我慢するのやめたの?」
佐竹はテーブルに伏せるような格好で腕の上に顔を乗せて上目遣いに私を見る。
「…佐竹は知ってた?田井中さんの結婚の話。」
「あー…まあ。うちの部の課長が田井中さんと仲良しじゃん?それで会話の中で何となくは。」
「そっか…」
真っすぐに向けられている視線がどことなく気まずくて苦笑いを作った。
「…結婚の事もそうだけど。田井中さん、私の事ペットのフレンチブルドックと重ねてたんだよ。…なんて言うかダブルパンチな感じ。もうダイエットしなくていいかって思っちゃった。」
「……悔しいから見返すとかじゃなくて?」
一瞬箸を止めてしまった。
そっちの発想がなかった…。
勝手に勘違いして投げやりになって。私、本当に身勝手だな。
佐竹から目線を外すと、自嘲気味に笑った
「…とにかく、確かに告白しても意味が無なかった。佐竹が言った事は正しかったのに、さっきは不機嫌になってごめんね?」
また麺を啜り出したら、佐竹が口を尖らせ再び不服顔を作る。
「…別にあれはそう言う意味で言った訳じゃないんですけど。」
体を起こし、肘をついて少し身を乗り出した。
「いくら婚約者がいたって田井中さんが真由子さんに惹かれているなら告白されたらイエスなんだろうから。
けどね?それで俺が真由子さんを諦めるわけじゃないから。」
好戦的に変化した目つきが彼のウリである“可愛さ”を残したまま、その表情に”男”を纏わせる。
「…どんなに遠回りしたとしても、真由子さんと最後に付き合うのは俺だよって事。
だったら始めから告白なんてしなきゃ近道じゃんて話しでしょ?」
更に佐竹の顔が近づいて、唇同士が触れ合った。
「俺は真由子さんがチャーシュー頬張ってる顔が最高に好きなんですよ。だから、チャーシューメンを食べる真由子さんと居る事より大事な用事なんてありません。」
…喜んで良いのだろうか、その理由。
「佐竹って趣味がおかしい。」
「人を奇人扱いしないでください。俺は至極真っ当ですよ?」
「ほら食べなよ」と促されてぱちんと割り箸を割った。
「皆川さん、話しが終わってないって…」
「平気。さっきので終わっただろうから。
話しが噛み合わなかったから時間がかかってただけ。」
噛み合わなかった…?
左にレンゲ、右に箸を持った体勢で佐竹を見る私に佐竹が困った様に小首を傾げて見せる。
「まぁ…さ。好みのタイプを聞かれたから『真由子さん』て言ったわけ。なのに『私じゃダメかな?』って。おかしくない?はっきり名前出してるのにさ。」
目の前の水を一口飲むと不服そうにムスッと口を少し尖らせた。
「テラスで話してたら真由子さんがゾンビみたいな無表情で食堂に戻って来たのが見えて『行って来る』って言ったらついて来ちゃって。」
…なるほど、それでさっき皆川さんは私に攻撃的だったんだ。
「…皆川さんは正しい。」
「はあ?!何でよ。」
そこで私の名前を出すのはお付き合いを遠回しに断るにしても安易すぎる。
自分より遥かに見劣りする女子をあげられたら、すぐに納得なんて出来ないに決まってるじゃない。
しかもそんな色気のある話の途中で置き去りにしようとするとは。女の性をこいつは全く理解していないんだ、きっと。
佐竹の子供具合いに呆れ、若干皆川さんに同情しながら一口飲んだスープは醤油の香りと少しの油分を舌に絡ませて口の中を幸福で満たす。
…やっぱり美味しいなあ、チャーシューメン。
自然と顔が綻んだ。
「我慢するのやめたの?」
佐竹はテーブルに伏せるような格好で腕の上に顔を乗せて上目遣いに私を見る。
「…佐竹は知ってた?田井中さんの結婚の話。」
「あー…まあ。うちの部の課長が田井中さんと仲良しじゃん?それで会話の中で何となくは。」
「そっか…」
真っすぐに向けられている視線がどことなく気まずくて苦笑いを作った。
「…結婚の事もそうだけど。田井中さん、私の事ペットのフレンチブルドックと重ねてたんだよ。…なんて言うかダブルパンチな感じ。もうダイエットしなくていいかって思っちゃった。」
「……悔しいから見返すとかじゃなくて?」
一瞬箸を止めてしまった。
そっちの発想がなかった…。
勝手に勘違いして投げやりになって。私、本当に身勝手だな。
佐竹から目線を外すと、自嘲気味に笑った
「…とにかく、確かに告白しても意味が無なかった。佐竹が言った事は正しかったのに、さっきは不機嫌になってごめんね?」
また麺を啜り出したら、佐竹が口を尖らせ再び不服顔を作る。
「…別にあれはそう言う意味で言った訳じゃないんですけど。」
体を起こし、肘をついて少し身を乗り出した。
「いくら婚約者がいたって田井中さんが真由子さんに惹かれているなら告白されたらイエスなんだろうから。
けどね?それで俺が真由子さんを諦めるわけじゃないから。」
好戦的に変化した目つきが彼のウリである“可愛さ”を残したまま、その表情に”男”を纏わせる。
「…どんなに遠回りしたとしても、真由子さんと最後に付き合うのは俺だよって事。
だったら始めから告白なんてしなきゃ近道じゃんて話しでしょ?」
更に佐竹の顔が近づいて、唇同士が触れ合った。