ホテル御曹司が甘くてイジワルです

そしゃくするたび動く色っぽいあごのライン。
ごくりと上下する男らしいのど。

長い指で口元を軽くぬぐうと、ようやく掴んでいた私の手首を離してくれた。

ぼうぜんとする私に気付いた清瀬さんが「どうした?」と不思議そうに問う。

「なんだか、ライオンに餌付けしてる気分でした」
「なんだそれ」

私の素直な感想に、清瀬さんが吹き出すように破顔する。

だって、サンドイッチだけじゃなく、私までまるごと食べられてしまうんじゃないかと思った。
心臓が、ものすごくドキドキしてる。


「少し遅くなったけど、どこか行くか?」

私の髪をひとすじ取り、手の中で遊ばせながらそう聞いてくれた。

首筋に長い指がかすかに触れる。
それだけで、背筋のあたりがくすぐったくて落ち着かない気分になる。

「いえ、今日はいいです」

なんとか平静を装いながら答えると、清瀬さんが首をかしげた。

「お仕事、まだ残ってるんですよね。私に気を使わないで、どうぞ片付けちゃってください」
「でも……」

< 108 / 278 >

この作品をシェア

pagetop