ホテル御曹司が甘くてイジワルです

「星座の形を決めたら、穴を開ける場所にペンでしるしをつけてね。穴を開けるときは危なくないように大人の人に付き添ってもらうから、この優しそうなおじさんのところに行ってください」

そう言ってハンマーや釘を用意したテーブルを差すと、作業着を着てやる気満々の館長が胸を張る。

「じゃあみんな好きな星座を考えてみて。なにかあったら声をかけてね」
「はーい」

わいわいとにぎやかな声が待合室に響く。
テーブルの間をゆっくり歩きながら様子を見て回っていると、自動ドアの開く音がした。

振り返ると、清瀬さんがいつもとはちがう活気ある光景に目を丸くしていた。

「大賑わいだな」
「今日は工作教室なんです」

近づいて説明すると、なるほどと納得したようにうなずく。
今日はお休みなのかな。いつもはスーツ姿の清瀬さんは、今日はカジュアルな格好だった。

白い綿のシャツに細身のデニム。
シンプルな服装が彼のスタイルの良さを引き立てていて、思わず見惚れそうになってしまう。

清瀬さんと顔を合わせるのは一か月前ぶりだった。
ホテルの部屋で『好きだ』とささやかれたあの日以来だ。

よっぽど忙しかったのかな、なんて思っていると、清瀬さんもこちらを見る。視線があうとふわりと笑われて、慌てて顔をふせた。

勝手に頬が熱くなる。落ち着け、私。そう心の中で繰り返した。

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