ホテル御曹司が甘くてイジワルです
「そういえば、これ」
清瀬さんが上品な紙袋を差し出した。
紙袋の中の綺麗な箱に入れられているのは、きっとチョコレートだ。
「あ、ありがとうございます。館長から清瀬さんは香港に行ったり本社に戻ったり、忙しくしているって聞いてました」
「あぁ。俺も聞いていたよ。真央が、俺が来るのを待って入り口の方を見てため息ばかりついてたとか、長谷館長と俺が連絡取りあっているのを知ってやきもちやいて怒ってたとか」
「はぁ……!?」
館長、そんなことを清瀬さんに言ったの!?しかも真実が思い切り歪められて伝わってるし!
目をむく私を見て、清瀬さんがいたずらっぽく笑う。
館長め。このチョコレートは没収だ。全部私ひとりで食べてやる。
そんなことを思っていると、背後から声が聞こえた。
「え、みんなもう印つけたの? 順番に穴を開けるから、ちょっと待っててね!」
館長の慌てた声にふりむくと、ハンマーや釘を用意したテーブルの前に子供たちが列をなしていた。
「なにをつくるんだ?」
「空き缶にハンマーと釘を使って穴を開けてキャンドルホルダーを作るんです」
不思議そうな清瀬さんに短く説明してから、館長のもとへと駆け付ける。