ホテル御曹司が甘くてイジワルです


「しっかり缶を固定しないとあぶないから、ちょっとまってね……」

興味津々でハンマーに手を伸ばす子供たちに声をかけると、清瀬さんが「手伝う」と言って私の前に入ってきた。
シャツの袖口をまくりあげながら、館長の隣に腰を下ろす。

「こっちでも穴をあけてやるから、二列に並んで」
「あ、清瀬さん。助かります」

ひとりじゃ対応しきれず慌てていた館長が、助っ人の登場に顔を輝かせる。

「こっちは俺がいるから、真央はあっちのテーブルの方を」

きょとんとしている私にそう指示して、子供たちに向き合う清瀬さん。

「ハンマーをもっと短めに持って、指を打つなよ」

なんてそっけなくいいながらも、見守る目線は柔らかくて、なんだかドキドキしてしまう。
ほとんどの子供はもう印をつけ穴を開ける順番を待っていて、テーブルで作業をしている子は少数だ。

そのなかで、さっきからちっとも手を動かしていない子がいるのに気づく。
じっと星座の図鑑をながめている、眼鏡をかけた小柄な男の子。


なにかに迷ったり困っているのかな。

< 130 / 278 >

この作品をシェア

pagetop