ホテル御曹司が甘くてイジワルです
私が声をかけようとしたとき、一番乗りで缶に穴をあけた男の子ふたりがひやかすように彼の手元をのぞきこんだ。
「こいつまだなにもしてないじゃん! 俺なんてもうできたよ」
「圭人は学校でもいつものろくてぼんやりしてるもんなぁ」
この男の子は圭人くんというらしい。ふたりの男の子は彼の前に開いてあった図鑑をもちあげ大きな笑い声をあげる。
「あ、返して……」
「お前こんなのじっと見てなにが楽しいんだよ。変なの」
からかうような大きな声が響き、その場の空気が変わる。
それぞれちがうことをしていた子供たちも、不穏な空気を感じ取り表情を曇らせた。
このままじゃよくない。やめさせなきゃ。
そう思った私の横を、広い歩幅ですり抜けていく人影。
「……自分以外の奴が興味のあることを理解しようともしないで否定するなんて、つまらないと思わないか」
清瀬さんが静かな声で言って、からかう男の子の手から本を取り上げた。