ホテル御曹司が甘くてイジワルです
子供たちが帰ったあと、工作教室の片づけをして、一緒になって手伝ってくれた清瀬さんにお礼を言う。
「清瀬さん忙しいのに工作の手伝いから後片付けまで手伝ってもらっちゃってすみません。本当にありがとうございます」
「いや、大した役には立たてなかった」
「そんなことないです。すごくありがたかったです」
特に圭人くんのこと。あのままじゃいじめに発展しそうな雰囲気だったところを、清瀬さんの言葉で自然と打ち解けられた。
大人が口を出して謝らせるよりも、子供同士自然と興味を持って歩み寄れるほうがずっといい。
それに、マイペースな彼を否定しなかった清瀬さんの態度に、私まで救われたような気持になった。
胸がいっぱいになって鼻をすすると、清瀬さんが不思議そうに私の顔をのぞきこんだ。
「どうした?」
そう問われ、慌てて首を左右に振る。
「いえ、なんでもないです。それより手伝ってもらったお礼をさせてください」
「別に俺がしたくてしたことだから、お礼なんていい」
「だけど、こうやって借りだけが増えていったんじゃ、私の気が済まないです。かわりに『坂の上天球館を引き渡せ』なんて言われても困りますし」
わざとぶっきらぼうに言うと、清瀬さんがあきれたように笑った。
「そんなことは言わないけど。……そうだな、じゃあまた一緒に食事をしてくれるか?」
「それがお礼になるとは思えないですけど……」
「俺がそうしたいんだ」
戸惑いながら口ごもると、清瀬さんがぽんと私の頭をなでた。
触れた大きな手の感触に、胸がさわいでしまう。
「き、清瀬さんがそれでいいなら」
「わかった。じゃあ今夜またここに迎えに来る」
渋々、という口ぶりでうなずいた私だけど、本当はそわそわと落ち着かなかった。