ホテル御曹司が甘くてイジワルです


「とてもお似合いですよ」

そんな褒め言葉にとまどいながらも鏡に見入る。
大人っぽいドレスとアクセサリーを際立たせるように、髪はシンプルにアップにされていた。

メイクはすごく上品で艶っぽい。
いつも冴えない自分でも、こんなに女っぽくなれるんだと驚く。

「さ、清瀬様がお待ちですよ」

そう言われ案内されて廊下に出ると、大きなソファにゆったりと腰かけていた清瀬さんがこちらを見る。
私がメイクをしてもらっている間に、彼も着替えたんだ。艶のある濃紺のスーツを纏った清瀬さんの大人の色気に思わず足が止まる。

「真央……」

立ち尽くす私を見た清瀬さんが、ソファから立ち上がりこちらに近づいてくる。
広い歩幅。まっすぐに向けられる強い視線。少し不機嫌そうな口元。

もしかしてこの格好、似合ってないかな。彼のお眼鏡にかなわなかっただろうか。

不安になってうつむく私の肩を抱き引き寄せると、清瀬さんは耳元でため息を漏らした。

「……まいったな」
「清瀬さん?」
「いつも部屋で食事ばかりじゃつまらないだろうと思ってレストランを用意したのに、こんなに綺麗な姿を見せられたら、部屋に直行して真央を俺の腕の中に閉じ込めておきたくなる」
「な、なに言ってるんですか……!」

そんな冗談にかっと頬が赤くなる。きっと抱かれている肩も熱を持ってるにちがいない。

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