ホテル御曹司が甘くてイジワルです
窓からは、美しい夜景が見えた。
ガラスの向こうの景色が楽しめるように、おさえぎみの照明。落ち着いたBGM。座り心地のいい椅子に美しいテーブルウエア。
プレアデスホテル内にある最高級のフレンチレストランで清瀬さんとふたり、向かい合って食事をする。
綺麗なドレスで着飾っているせいか、まるで夢を見ているようだ。ふわふわと落ち着かなくてなんだか現実味がなかった。
清瀬さんが優雅にナイフとフォークで食事と口を運びながら、ちらりとこちらに視線をむける。
それだけで頬が熱く感じてしまうほど動揺してしまう。
「真央」
おもむろに名前を呼ばれ、わずかに首をかしげて清瀬さんを見ると「さっきは、なんで涙ぐんでたんだ?」とたずねられた。
「え?」
涙ぐんでいたって、いつのことだろう。首をひねる私に、清瀬さんが続ける。
「工作を作っているとき、必死に涙をこらえているように見えた」
「あ……」
誰にもばれてないと思っていたのに、清瀬さんは気づいていたんだ。
誤魔化し切れていなかった自分が恥ずかしくて、思わず口元を手で隠す。
「もしかして気分でも悪かったのか?」
「いえ! そうじゃなくて……!」
心配そうな清瀬さんに、慌てて首を横に振る。