ホテル御曹司が甘くてイジワルです
 

「夏休みや冬休み、それから流星群が話題になるような時期になると、星に興味を持った人が増えて少しは賑やかになるんですけどね」

なんて話しながら、待合スペースに掲示する資料の準備をしていると、「そういえば」と館長が思い出したように顔を上げた。

「どうしました?」

首を傾げる私に館長は窓の外を指さしてみせる。

「隣の商館、来週から工事が入るって」

そう言われ、つられて窓から隣の敷地に立つ木造二階建ての洋館を見る。

大正時代にイギリスの貿易商によって建てられた豪華で美しい商館。
十数年前まではこのプラネタリウムの元の持ち主でもあった地元の企業の事務所として使われていたらしいけど、大きく豪華すぎる建物は使い勝手が悪いということで移転してからはずっと空き家になっていたはずだ。

「取り壊しちゃうんですか?」

確かに管理や維持が大変だろうけど、せっかく素敵な建物なのにもったいない。と顔を曇らせると、館長が首を横に振った。

「改装して、レストランかなにかになるらしいよ」
「へぇ、レストランですか」


 
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