ホテル御曹司が甘くてイジワルです


「真央さんだって、人をうらやむ必要なんてないくらい、たっぷり愛されてるじゃない」

そう指摘されて、顔が赤くなってしまう。

「いや、そう、なんですけど……」

まっすぐに好意を言葉や態度でしめしてくれる清瀬さん。たっぷりどころか溺れるくらい愛されていると思う。だけど……。
膝に置いた手をぎゅっと握りしめて、由美子さんのことを見る。

「私、コンプレックスがあるんです」

勇気を出してそう言うと、由美子さんは穏やかに頷いてくれた。

「そのコンプレックスを清瀬さんにまだ言っていなくて。知ったら嫌われるかもしれないと思うと怖いのに、黙っているのも彼を欺いているようで苦しくて……」

前を向いていた視線が、話しているうちにどんどん下へ落ちていく。最後には自分の膝をみつめ、黙り込んでしまった。


こんなことを言っても、由美子さんを困らせるだけだな。そう思うとさらに自己嫌悪におちいってしまう。

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