ホテル御曹司が甘くてイジワルです


不思議に思いながら彼の隣に並ぶと、清瀬さんは空を差してみせた。

「雲がはれてきて、星が見えそうだったから」
「星……?」

つられて私も空を見上げる。
さっきまで空を覆っていた雨雲の切れ間で、キラキラと星が輝いていた。

土砂降りの雨が空気を洗ったせいか、それとも山の上で空が近いせいか、星の光がとても鮮明に見える。


上空では強い風がふいているようで、夜空を雲がどんどん流れていく。そして雲に隠されていた星空が、ゆっくりと姿を現した。

「わぁ……!」

その美しさに思わず声が漏れた。
頭上に広がる満天の星。
街中ではなかなか見ることのできない天の川がはっきりと浮かび上がっていた。


「綺麗」

こと座のベガにわし座のアルタイル。天の川の上で翼を広げるはくちょう座。赤く光るさそり座のアンタレス。

プラネタリウムで星座を見上げることに慣れていても、やっぱり本物の輝きの美しさには感動して息をのむ。

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