ホテル御曹司が甘くてイジワルです
「こんなに綺麗な星空が見られるなんて、大雨に感謝だな」
隣にいる清瀬さんがそう言った。
土砂崩れで道路が通行止めにならなかったら、ここに泊まることにはならなかったし、こうやってふたりで星空を見上げることもなかった。
「本当ですね」と顔を見合わせて小さく笑ってから、また空を見上げる。
するとその時、夜空を白い光の線が流れた。
「あ……! 流れ星!」
一瞬光って消えた流星。慌てて清瀬さんを振り返ると、彼もしっかり見ていたようで、驚いた顔をしていた。
「すごいな。流れ星なんてはじめてみたかもしれない。今日は流星群が来る日なのか?」
「いえ、流星群が近づいていなくても、肉眼では確認できない小さなものも含めれば毎日ものすごい数の宇宙のチリが降ってきてはいるんです」
宇宙空間に漂う小さな小さなチリや小石が、地球の大気の中で燃え尽きていく流れ星。
「でもたまたま見上げた星空で、こんなにはっきりとした流れ星を見られるなんてすごい……」
しかも清瀬さんとふたりで見られた。奇跡みたいに素敵な出来事に、胸がドキドキする。